2015年3月17日
地域活性化・地方性とはなんだろうか。
「地域活性化」・「地方創生」の定義
「地方創生」、「地方活性化」という言葉は最近様々なところで使われています。
でも、その意味するところは一体なんなのでしょうか。
例えば、総務省の公式資料にはこういう記述があります。
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1)「地域活性化」の定義(広義概念)
各市町村の「人口動態」と「人口構成」に着目し、地域社会の活性化状況(地 域活性度)を捉え、人口減少に一定の歯止めがかかっており、近い将来におい ても定住人口の維持が可能である市町村を『活性化している』と捉える。逆に、 過疎化の進行により人口が減少し続けると同時に、高齢者比率のみが高まって いる市町村を『活性化していない』と捉える。
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また、地方創生という言葉は、特に公式に定義が明確にされていないようですが、「まち・ひと・しごと創生法案」からきているようです。
では、その「まち・ひと・しごと創生法案」内での「まち・ひと・しごと創生」の定義はなんでしょうか。
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まち・ひと・しごと創生:以下を一体的に推進すること
まち・・・国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いある豊かな生活を安心して営める地域社会の形成
ひと・・・地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保
しごと・・・地域における魅力ある多様な就業の機会の創出
出典:「まち・ひと・しごと創生法案の概要」より
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上記を見る限りでは、定住人口の維持が可能な市町村を目指す「地方活性化」に対して、その実現手段として「地方創生」があるようです。
つまり、定住人口を維持するためには、その市町村で人口が増えるか、減らないようにしなければならず、そのためには移住者を増やすか、死ぬ人より生まれる人の方が多くなければなりません。移住者に関して言えば出て行くのを止めることはできないし、死ぬ人を引き止めることも実質的に不可能であるため、実際に取り得る手段は人が喜んで移住し、子供を作りたいと思うような環境作りなのです。
そのためには、生活の糧を得るための仕事がなければなりません。
また、安心して仕事ができる環境がなければなりません。
そもそも、仕事を得るためにはその地域で産業が発達していなければならず、そのためには優秀な人材が必要ということになります。
回りくどい言い方になりますが、そういう意味の手段としての「まち・ひと・しごと創生」ということなのでしょう。
「まち・ひと・しごと創生」に対する違和感
しかし、個人的に「まち」、「ひと」、「しごと」は同列に扱っていることに違和感があります。
事業経営でもそうですが、2つも3つも大きな目標があると得てして一つもうまくいかないもの。
また、2つや3つに見える目標も根を辿れば一つということがほとんどです。
では、「地方活性化」を実現するための根はなんでしょうか。
それは、とても簡単です。人口が増えればいいのです。
しかし、日本全体で起きている少子化という現象、一人の女性が一生のうちに産む子供の数が2人未満、つまり夫婦2人から1人しか生まれてこない、を止めることは非常に難しいことです。
(フランスなどで一時的に成功しているという事例もありますが、気質が大きく異なる日本人とフランス人の間で同じような施策を打つことが有効かはかなり怪しいとおもいます。)
新しく生まれる子供が圧倒的に少なく、人口というパイがどんどん小さくなっていく中で地域として取れる方法は「ひと」の取り合いしかありません。
これが私が地方自治体が競争の時代に入っているという所以の一つでもあるのです、他の自治体に比べて転入者を増やし、転出者を減らすことです。
では、転入者を増やし、転出者を減らすためには何がもっとも有効なのでしょうか。
ちょっとご自身が転居する理由を考えてみればわかりますよね。
そう、仕事です。
そこに仕事があるから人は移住するのです。
それが会社の人事異動であったり、転職であったり、脱サラであったり様々ですが、現時点ではまだ最大のボリュームをもつ労働人口(15-64歳人口)が動く理由は「しごと」なのです。
別な言い方をすればそこに仕事がなければ人は絶対に移住しません。なぜなら生きていけないからです。
「しごと」を生み出すことの難しさ
そこに「しごと」があれば「ひと」は集まる。
「しごと」をもつ「ひと」が集まればそこに収入・消費・資産が発生するため、市町村民税、法人税、固定資産税が潤い、より一層住みよい「まち」になっていくのです。
そう、言いたいことは「まち・ひと・しごと創生」には順番があり、それは「まち」、「ひと」、「しごと」ではなく、「しごと」、「ひと」、「まち」なのです。
これは同時に地方活性化を地方創生という手段で実現するための大前提は、そこに産業を興すこと、もしくは既存の産業を大きく伸ばすことを意味しています。
そう、数%の確率でしか成功しない起業、さらにそれを地域で雇用を生み出す産業にしていかなければならないわけです。
これはいうなれば約2000ある日本の市町村のそれぞれに何かしらの産業を生み出そうとしているのと同じことです。
それが今皆さんが遮二無二取り組んでいる地方創生であり、活性化なのです。
私もそれに取り組む一人ですが、それだけ難しいことに取り組んでいるということを肝に据え、いつでも自分の最大限の能力が発揮できるようにすると同時に多くと人と協力して進めなければならないと強く思う毎日です。
一緒に取り組んで下される方、ぜひご連絡をください。
2013年7月4日 株式会社 社会価値'見える化'研究所
代表取締役 石橋 宏太